親子の絆
私が知っているお嬢さんのお話です。
彼女は、中学のときに両親が離婚し、
兄弟とともに、母親との暮らしが始まりました。
父親は彼女の兄弟を可愛がっていましたが
彼女とはなんとなくしっくりいかず、
離婚後に父親と会うのも、
養育費をもらっている子どもの義務、とでも思っている節がありました。
ですから
会っても楽しいと思うわけではなく、
父親の話をするときの彼女は
なんとなく刺々しい雰囲気がいつも漂っていました。
一緒に暮らしている母親との関係はまんざらでもないようで、
彼女自身、父親との関係の悪さは
別に今始まったことでもなく、
「自分と父親とは合わない」と割り切っていたのだと思います。
でもひょんなことから
父親とゆっくり話をする時間を持つ羽目になり、
そこで父親が彼女を誤解していたことに気づき、
歩み寄りの姿勢を見せたようです。
今までお互い分かり合えてなかったから
どちらも相手に対して
なんとなく煙たい思いを抱いていたのが払拭されたのでしょう。
そのことがあってから
彼女の父親を語る口調がずいぶんと柔らかくなりました。
表情も
以前の刺々しさは消え、
とても楽しそうに話題にするようになり、
用事があれば、気軽に電話で話しもできるようになりました。
やっぱり、
たとえ一緒に暮らしていなくても
気持ちが通じ合うのとそうでないのとでは
これほど違うのか、と思うほど
彼女を見ていると
最近の「心の軽さ」を感じます。
父親との折り合いの悪さは
とても居心地の悪いものだったのでしょう。
兄弟には愛想の良い父親、と見えていただけに
寂しさも感じていたのだと思います。
切れていたのかと思っていた父と娘の絆。
つながっていて良かった。
彼女の表情を見て、つくづくそう思います。
彼女曰く
「私は、私に心を開いてくれないひとを「〜さん」付けはできない。」と。
そういえば
彼女はずっと父親のことを
「お父さん」ではなく
「父親」と言い続けていました。
「今はどう?」
私の問いに、彼女は
「父さん、って呼べそう」
そう応えていました。
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